2009年2月15日日曜日

Death Cab for Cutie


2月に来日公演をしたデスキャブ。
デスキャブは1997年に結成されたシアトルのインディーロックバンド。
ほとんどの曲が、失恋などうまくいかない関係を歌った切ない感じのもの。

バレンタインの日のコンサート@新木場Studio Coastは満員でした。
日本のファンもいっぱいいるんですね。
30代前後のファンが多かったよう。
一人で来ている人もちらほら。
米軍基地から来ているアメリカ人も結構いました。

生で聴くとさらにデスキャブの旋律が
心に響きますが、 "I Will Follow You Into the Dark"
(ヴォーカルのベンの弾き語り)が一番ぞくぞくしました。

歌詞を日本語にも訳してみます。


Love of mine some day you will die
But I'll be close behind
I'll follow you into the dark
愛する君もいつか死ぬだろう。
でも、僕は後について一緒に闇の中についていくよ。

No blinding light or tunnels to gates of white
Just our hands clasped so tight

Waiting for the hint of a spark

If Heaven and Hell decide
That they both are satisfied

Illuminate the NOs on their vacancy signs
射し込んでくる光もなければ、白い門もない。
ただ僕たちの手は強く握りしめあっていて
光の気配を待っている。
天国と地獄両方が満足しているならば
「満室」というサインを出すだろう。

If there's no one beside you
When your soul embarks
Then I'll follow you into the dark
君の魂が飛び立つ時に、もしそばに誰もいなければ
僕が一緒に闇の中についていくよ。


In Catholic school as vicious as Roman rule
I got my knuckles bruised by a lady in black

And I held my tongue as she told me

"Son fear is the heart of love"

So I never went back
ローマ帝国のように残虐なカトリックの学校では、
黒服の女性にこぶしにあざをつけられた。
彼女に「愛する心こそが恐怖である」と言われたので
僕は口をつぐんでしまった。
それから二度と学校に戻らなかった。

If Heaven and Hell decide

That they both are satisfied

Illuminate the NOs on their vacancy signs
天国と地獄両方が満足しているならば
「満室」というサインを出すだろう。


If there's no one beside you
When your soul embarks

Then I'll follow you into the dark
君の魂が飛び立つ時に、もしそばに誰もいなければ
僕が一緒に闇の中についていくよ。

You and me have seen everything to see
From Bangkok to Calgary

And the soles of your shoes are all worn down

The time for sleep is now

It's nothing to cry about
'cause we'll hold each other soon
In the blackest of rooms
君と僕はバンコクからカルガリーまですべてを見てきて、
君の靴のそこは磨り減ってしまっている。
眠りにつく時間は今、泣くようなものではないよ。
真っ暗な部屋ですぐに抱き合うことができるから。

If Heaven and Hell decide

That they both are satisfied

Illuminate the No's on their vacancy signs

天国と地獄両方が満足しているならば
「満室」というサインを出すだろう。


If there's no one beside you
When your soul embarks

Then I'll follow you into the dark

Then I'll follow you into the dark
君の魂が飛び立つ時に、もしそばに誰もいなければ
僕が一緒に闇の中についていくよ。
僕が一緒に闇の中についていくよ。

ちなみにこの曲、2006年にグラミー賞最優秀
ポップスグループパフォーマンスにノミネートされてますが、
Black Eyed Peasの "My Humps"に賞はとられてしまっています。
"My Humps"はそこら中で流れていたので
誰の耳にも残っているけど、「私のお尻」なんていう曲と、
デスキャブのこの曲を並べられてもちょっと困りますね。


音楽: M.I.A.

前回の備忘録に載せた映画 Slumdog Millionaire の、
サウンド・トラックPaper Planesは2月8日のグラミー賞で
レコード・オヴ・ザ・イヤーにノミネートされました。

この曲を歌うM.I.A. (本名Maya Arulpragasam)は、
当日が出産予定日にも関わらず授賞式でステージに上りました!







グラミーから戻った夜に陣痛が来て、次の日に出産したそう。
この恐れをしらない姿の裏にある、彼女の今までの人生を簡単に振り返ってみます。

スリランカのタミル民族の両親のもとに、1977年にロンドンで生まれる。
しかし、父親がタミル民族の分離独立運動(*)に参加するため、
家族は彼女が6ヶ月の時にスリランカに移る。
紛争下のスリランカから、やむを得ずイギリスの難民用住宅に
移り住むまでの約10年間、毎日が危険と向かい合わせだった。
父親は国軍から身を隠すため、なかなか家に帰っては来られず、
彼女が行き始めた学校は、政府により破壊されてしまう。
危険から逃げるために家族は引越しを続け、インドの路上生活者が集まる
地域に身を寄せたこともあった。

(*)タミル民族の分離独立運動は現在も続いており、国軍からの攻撃の
激しさも増して悪化の一途をたどっています。
2008年だけで、日本でも90人のスリランカ人(ほぼタミル人のはず)が
難民申請をし、ミャンマー人979人、トルコ人156人に続いて第3位の人数でした。

こんな背景を持つM.I.A.だからこそ、
Slumdog Millionaireにぴったりのサウンド・トラックを作れたのでしょう。

ちなみに、映画用にre-mixされたPaper Planes
映画の予告編とともに視聴できます。


映画: スラムドッグ$ミリオネア (2008)



スラムドッグ$ミリオネア (2008)
原題:Slumdog Millionaire

2009年4月から日本でも公開。
ゴールデン・グローブ賞 - 最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀作品賞受賞
アカデミー賞 - 9部門ノミネート
「トレインスポッティング」のダニー・ボイル監督、製作国イギリス

と前評判抜群だったので、一足先に見てみると、
うーん、よかった。

この備忘録ブログを始めるきっかけとなった作品!

内容はこんな感じでした。

主人公ジャマールを演じるのはインド系イギリス人俳優。
家族を失いスラムで生活していたジャマールは、
誘拐され、物乞いとして働かされることとなる。 同情をかって高いお金を稼ぐためにと、危うく盲目にさせられるところを 間一髪逃亡する。

逃亡時に、恐ろしい物乞い宿に残してきてしまった ラティーカのことがずっと忘れられず、しかしボンベイに戻れば殺されるという想いで、 遠く離れた土地で必死に食いつないでいく。 長距離電車での物売り、タージマハルでの観光ガイド、盗人、食堂の手伝い・・・

ジャマールの生活は、一見インドの最下層を映し出す(インドのそこら中で目にする)
何の変哲もないもの。 しかし、急成長を遂げるインドの大都市で、子どものころから生きる手段を見つけてきた ジャマールが得た知識は少なくなかった。

好機が訪れたのは、コールセンターでお茶くみの仕事をしていたときに、
誤ってクイズ・ミリオネアの番組からの電話をとってしまったこと。 これがきっかけでクイズに出ることになったジャマールは 今までの経験を生かしてクイズに次々と正解し、大金を手にする。

映画は、インドらしく、ジャマールがクイズでいんちきをしたのではないかと
警察に捕まり拷問を受けるところから始まる。ジャマールが一問一問なぜ正解できたのか、 どこでどう学んだ情報かを警察に説明することで、ジャマールの人生をさかのぼる形で映画が進む。 テレビを通してジャマールの居場所を確認したラティーカと 感動の再開をして映画は終る。


そういえば、ラストシーンでジャマールとラティーカが感動的に結ばれた
ボンベイ駅構内は、インドで忘れられない思い出の場所でした。

それは、大学3年生の春休み、インドに親戚をもつA.T.さんと
1ヶ月ほどインドを旅していた時のこと。あちこちの彼女の親戚の家で
カレーを食べさせてもらえたのは幸せでした。

ボンベイ駅での出来事は、今でも鮮明に覚えています。
ごったがえしていた駅構内で、私はA.T.さんと離れ離れにならないように
必死になりながら、ニューデリー行き電車を探していました。
もちろん、携帯電話も持っていなかったので見失ったらおしまいと思いながら。
でもそういう時に限って、一瞬のすきに彼女を見失いました。
そしたら、なんと彼女が間違えた電車に乗り込んでいる・・・・
「違う電車だよ。早く降りて!」
という私の声に気づいた時には、電車は既に動きだしてしまっていて・・
私の声に気づいて飛び降りるべきか躊躇している間に、電車は既にスピードを上げ始め・・・
結局彼女は勇気を出してプラットホームに飛び降り、幸運にも擦り傷と
着ていたサリーと体中が泥だらけになっただけですみました。

しかし、あの間10秒足らずの緊張の一瞬は今も忘れません。
何か悪いことが起こるシーンは、映画でよくスローモーションで
流れるけど、2-30秒くらいの出来事だったような感じがします。